FC2ブログ
メールフォーム全記事一覧twitterHOME   »   スポンサー広告  »  スポンサーサイト創作  »  女「年末の立ち入り検査でーす」
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
Head Line(*´∀`) <移転しましたお
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 04:41:38.96 ID:CKmsTPiR0

男「なんか」

女「ん?」

男「暇だな」

女「はあ」

男「うん」

女「わたしという彼女といて?」

男「変か?」

女「好きな人と一緒にいるだけじゃ不満かな」

男「別にそういうわけではないんだけどさ」




前々々回…男「海に行きたい」
前々回……女「映画見に、行こうよ」

前回………女「クリスマスだから」


【立入検査の手引】


3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 04:48:56.95 ID:CKmsTPiR0

女「まあ、わかるよ」

男「そうか」

女「わたしも幾多の暇を経験してきたから」

男「まだ16なのに」

女「暇だと思うのは同じことをやり続けるから、暇なの。新しいことをしなきゃ」

男「ほお。例えば?」

女「まずはこの惰性で続けている賭けトランプをやめる」

男「だって他にすることあるか?」

女「わたしの家でゲームするとかさ」

男「だってお前、強すぎるんだもの」



4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 04:54:16.24 ID:CKmsTPiR0

女「わたしと組んでオンライン対戦すればいいじゃない」

男「いや、はっきりいってついていけないんだよな・・・」

女「まあ、初めのうちは仕方ない」

男「それにそれじゃあ、お前が暇になっちゃうだろ」

女「わたしは、ほら。あなたといるだけで楽しいから」

男「ああ・・・。そう」

女「うん」

男「なんだか、自分がひどく荒んでいる気がした」

女「ふふ。そうでしょう」



5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 04:59:05.57 ID:CKmsTPiR0

女「とりあえずあなたが暇と思うなら、何かしなくちゃいけないよね」

男「なんか俺が一方的に頼みごとをしている気がする」

女「違わないでしょう」

男「そうだけど」

女「お腹、減らない?」

男「そういえばなんだか減ってるな」

女「料理でも作れば暇くらい紛れるでしょう」

男「そう、かな。第一この部屋にろくなものがあるとは思えない」

女「チャーハンくらいなら作れるんじゃないかな」

男「それ、お前が俺のチャーハンを食べたいだけじゃないの」

女「ふふ。ばれた?」



6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:03:36.89 ID:CKmsTPiR0

男「よくよく考えたらそんなに腹も減ってない気がする」

女「でもわたしはお腹が空いていますよ?」

男「ああ、はいはい。作るよ」

女「ありがとう」

男「味付けはいつもと同じ感じでいいんだな」

女「男が作ってくれたものなら、なんでも」

男「お前さあ、わざと云ってる?」

女「何が?」

男「そういうなんか、なんだか嬉しいこと」

女「ふふ。わざと」



7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:08:46.58 ID:CKmsTPiR0

女「男のチャーハンってさあ」

男「なんだよ」

女「やっぱり少し、硬いよ」

男「そうじゃないとパラパラにならないんだもの」

女「それが家庭用コンロの限界か」

男「俺にできないんだから、まあ」

女「ああ。おいしいんだよ?でもさらに注文をつけるとってこと」

男「欲深いんだな」

女「うん。まあね。今に始まったことじゃないし」



8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:11:40.35 ID:CKmsTPiR0

女「男のおいしいチャーハンを食べて」

男「うん」

女「それでまた、こうしてトランプしてるわけ」

男「だって他にすることないんだもの」

女「なんだか会話がループしてる気がする」

男「第一なんで俺たちはここにいるんだろう」

女「いつの間にか入り浸るようになっちゃったね」

男「親が、いないからな」



9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:19:00.83 ID:CKmsTPiR0

女「ハルさんは今日はどこに行ったの?」

男「イラストの仕事をもらったんだって」

女「仕事?」

男「車検代で貯金が苦しいんだって」

女「ああ」

男「それとお前へのプレゼントもけっこうきいてるみたいだったよ」

女「それは、悪いことをしたね」

男「まあ、あの人がしたくてしたことだからいいんじゃないの」



10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:22:23.20 ID:CKmsTPiR0

女「でも、もういい時間だけど」

男「友達と忘年会があるんだって」

女「友達、いたんだ」

男「俺と同じ反応してる」

女「可哀相だよ?」

男「変なのならいるんだって」

女「変なの」

男「コスプレ好きとか」

女「ああ、それで」



12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:31:22.35 ID:CKmsTPiR0

女「でもハルさんに友達がいて、よかった」

男「お前って友達いるの?」

女「何よ。突然」

男「だって毎日こうして俺といるし」

女「そっくりそのまま返してあげたいね」

男「それをいわれると何とも返事できないけど」

女「うーん。まあ、いるかな。自分が友達と思ってるだけで向こうはどう思ってるかわからないけどね」

男「そういう冗談が流行ってるのか?」

女「冗談だってわかるんだ」

男「冗談にもなってないよ」



14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:39:14.85 ID:CKmsTPiR0

女「小学校のころ遊んでた高林兄弟」

男「ああ」

女「覚えてる?」

男「当たり前だろ。今でも連絡とってるよ」

女「そうなんだ。わたしもだよ」

男「じゃあ、今度あいつの家に遊びに行くか」

女「それも暇脱却の一環なの?」

男「まあ、なんでも」

女「いいけど。一緒に行ったら、びっくりするかもね」



16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:45:58.35 ID:CKmsTPiR0

ガチャ
宇「どうもー」

空「どうもー」

宇「年末の立ち入り検査でーす」

空「検査だよー。晴ねえ、いるー?」

男「あ・・・」

宇「あ、あー」

男「な、なんで・・・」

宇「男くんだー!」

女「え?」



18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:50:34.53 ID:CKmsTPiR0

宇「空ー。男くんだよー」

空「あ、ほんとだー。懐かしい」

男「ちょっと。ちょっと待て」

宇「それはこっちのセリフだし」

男・宇「なんであなたがここにいる」

宇「わたしはただ姉の部屋を見に来ただけだし」

男「俺だってただあんたの姉の部屋にいるだけだし」

女「なんかおかしなことになってるよ?」



19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:55:40.61 ID:CKmsTPiR0

宇「第一その、隣のかわいい女の子は誰よ」

女「え、わたし?」

空「うんうん。かわいい」

男「まずお前らから名乗れよ」

宇「まったく偉そうだねー。いいけどさ」

宇「宇深(うみ)です。晴、ってわかるのかな」

男「わかるわかる」

宇「そっか。晴の妹です。よろしくね」

空「あたしも同じく妹の空だよ」

女「女です。よろしく、お願いします・・・」



20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 05:59:16.98 ID:CKmsTPiR0

宇「いつの間にかこんなにかわいい子連れちゃってー」

空「連れちゃってー」

男「なんだよ。うるさい」

宇「相変わらずその反抗的な態度は治らないかねえ」

男「治らねえよ、こんなもん」

宇「まあ、いいんだけどね」

宇「なんで君がここにいるわけ?」

男「だからただ遊びにきてるだけだって」

宇「最初からそういえばいいのに」

男「悪かったな」



22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:04:26.77 ID:CKmsTPiR0

宇「この子は」

男「ん?」

宇「君の彼女ってことでいいんだね」

男「ま、まあ」

女「はい。構いません」

空「すっごいはきはきした、いい子だね」

男「いい子だよ」

宇「ひゅーひゅー」

女(なんか、場違いかなあ)



24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:11:19.83 ID:CKmsTPiR0

空「じゃあ、あたしはもう行くから」

宇「ああ、うん。バイバイ」

男「どこ行くの」

宇「なんか高校の友達と約束してるみたい」

男「それより、なんであんたがここにいるの」

宇「姉の部屋に遊びに来たらダメかな」

男「いいけど、春から一度も来てないのに」

宇「何度か来てるよ。会ってないだけ」

男「ふうん。そうか」



26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:20:44.10 ID:CKmsTPiR0

女「なんか関係が見えないんだけど」

宇「ああ。晴がこの子のお兄さんとつき合ってたのは知ってるよね」

女「まあ・・・」

男「この子いうなこの子」

宇「家も近かったし。お姉ちゃんよりもわたしの方が男くんより歳も近いし」

男「というか多分会ったことあるぞ」

宇「そうなの?」

女「その、あんまり覚えてないというか」

男「俺の家の隣に住んでた」

宇「ああ、女の子。その子なの?」

女「ああ、はい。そうです」

宇「そっかー。大人びてわからなかったよ」



28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:32:58.49 ID:CKmsTPiR0

男「で、本当は?」

宇「君はそうして、見透かしたことをいうね」

男「目的があるんだろ?」

宇「まあね。お姉ちゃんに、話があって」

女「話」

宇「ああ、そんなに大した話じゃないよ。そんな身構えるようなものじゃ」

男「ふうん」

宇「で、お姉ちゃんは?」

男「飲みに行ってるみたい」

宇「ありゃー。それは困ったなあ」



29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:39:04.80 ID:CKmsTPiR0

女「じゃあ、帰ってくるまで昔話でも聞かせてもらおうかな」

宇「昔話?」

女「ほら、わたしあんまり覚えてないから。男もなんだか話したがらないし」

宇「うーん。昔話だってよ?」

男「いや、俺に聞かれてもな」

女「あれ、ダメなんですか」

宇「いや、実際話すようなことあったかなあと思ってさ」

宇「男くんは、きっとあなたが思ってる通りの男くんだよ」

男「初対面同然でそれが云えるか」



30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:47:10.55 ID:CKmsTPiR0

宇「わたしの方が歳が一個上だから、かわいがってあげたのは本当だね」

女「へえ」

男「あんたにかわいがってもらった覚えはないが」

宇「そんなこと云うの?昔はこれでもかわいかったんだよ」

女「そうなんだ」

宇「どちらかというと、そうだね。親しみやすいいい子だった」

男「云ってくれるな」

宇「本当のことだよ?まあ、他の人には憮然とした人に見えたかもね」



32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 06:55:34.49 ID:CKmsTPiR0

宇「思い出すなあ」

男「何を」

宇「うんこ噴水事件」

男「うんことか平気でいうな。というか俺の印象はそれかよ」

宇「トイレが詰まってたんだよね。必死で言い訳する君がかわいかった」

宇「ああ。あんまり彼女さんの前でかわいかったとかいうべきじゃないか」

男「もうこの話は終わり。黙ってろよ」

宇「はいはい。悪かったね」

女「仲、よかったんですね」

男「実際それほどでもない」

宇「それほどでも、ないかもね」



33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:02:23.98 ID:CKmsTPiR0

宇「中学に入ってからはぱったりだよ。思春期ってやつかな」

男「別に意識して話さなくなったわけじゃ」

宇「お互い忙しくなったからね。どうしても疎遠にはなるよ」

宇「でもお姉ちゃんとは相変わらず仲よかったみたいだけど」

男「あの人が俺の家に来るから、仕方なく」

宇「お姉ちゃんは君の話をよくしてくれたよ?」

男「それは、まあ。うん・・・」

宇「そんな感じかな。わたしたち姉妹と男くんは」

男「強引にまとめたな」

宇「ちょっと強引だったか」

女「ううん。ありがとう」



35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:11:11.66 ID:CKmsTPiR0

女「なんだかハルさんの印象が変わった」

男「どんな風に」

女「もっと、ずっと大人なんだね」

宇「ううむ。そうかな」

男「多分変な勘違いをしている」

宇「歳が離れてるだけだと思うよ?」

女「でも、いつも話すハルさんとは違う印象だった」

男「ていうかあの人の話なんてしてたか」

宇「若干だね」



36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:24:15.84 ID:CKmsTPiR0

晴「たっだいま~」

女「噂をすれば」

宇「待ったよ。お姉ちゃん」

晴「は、い?宇深?なんでここにいるの」

宇「ちょっとお話がありまして」

女「けっこう早かったんだね」

男「この人酒があんまり好きじゃないから」

晴「話って何」

宇「いいから。ちょっと座って」

男「なんか修羅場臭いな」

女「うん。わたしもそんな気がしてきた」

晴「私も、そんな気がする」

宇「こらこら。混じらない」



37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:30:30.25 ID:CKmsTPiR0

宇「さて」

晴「ふうん」

男「うむ」

女「・・・」

女(ねえ、ここにいていいの?)

男(今から帰るのもなんだかきまずいだろ)

女(それはそうだけど)

宇「お姉ちゃん」

晴「は、はい」

宇「わたしがここにいる理由、少しはわかってると思いますが」

晴「まあ、なんとなくは」



39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:37:49.44 ID:CKmsTPiR0

宇「でもお母さんも心配してるし、年始くらい帰ってきたら」

晴「ああ、うん」

宇「以上」

男「へ?」

女「それだけ?」

宇「それだけって。けっこう大変なんだよ?うちの父親をなだめるのは」

男「そうかもしれないけど」

女「ハルさんがいなくなったら、どうしようかと思った」

宇「愛されてるね」

晴「ありがとう女ちゃん」



41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:47:10.96 ID:CKmsTPiR0

宇「そういうわけです」

晴「なんか、拍子抜けしちゃった」

宇「人の気も知らないで」

晴「ごめんごめん」

宇「出来の悪い姉をもつのは大変です」

晴「またさりげない」

宇「どうも」

男「帰るの?」

宇「うん。久しぶりに男くんの顔も見られたし、かわいい彼女も紹介してもらったし」

晴「ねえ。かわいいよね」

女「あ、ありがとうございます」

宇「男くんをよろしくね」

男「今までそんなこと思ったこともないくせに」

宇「素直にしてれば、もっといいのに」

晴「まあまあ」



42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:54:51.97 ID:CKmsTPiR0

女「送っていってあげれば?」

男「は、俺?」

女「久しぶりの再会みたいだし」

晴「うちの妹ならね、手は出せないしね」

宇「ちょっと」

女「別に、そんなこと気にしないよ」

宇「うーん。でもなあ」

女「いいからいいから」

男「何をそうまでして」

女「いつもと違うことをしなきゃ、ね?」



43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 07:59:01.47 ID:CKmsTPiR0

男「うーん。じゃあ、行く?」

宇「わたしはいいんだけどさ、その」

晴「行ってこーい」

男「あれは女とゆっくりしたい感じだから」

宇「まあ、そういうことなら、よろしく」

女「うんうん」

男「じゃあ、行ってくる」

宇「女ちゃん、また会えるといいね」

女「うん。わたしも楽しみにしています」

晴「宇深には敬語なんだね」



44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:03:02.65 ID:CKmsTPiR0

宇「二人でいるのはあんまりなかったかな」

男「そうだっけ」

宇「うん。なかったよ」

男「まあ、あんたはいっつも空といたから」

宇「んー?そうでもないよ」

男「俺の記憶ではいつも一緒にいた気がする」

宇「人の記憶なんて曖昧なものだから、どうだろうね」



45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:05:44.82 ID:CKmsTPiR0

男「今日来たの、あの話だけじゃなかったんだろ?」

宇「どうして?」

男「そんな気がする」

宇「いつの間に君は超能力を取得したんだね」

男「そんなわけあるか」

宇「ううん。でも、あたってるよ。話は半分口実だね」

男「そう」

宇「ついにわたしが見透かされるかー」



47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:10:19.22 ID:CKmsTPiR0

男「心配だったんじゃないの。姉貴が」

宇「というか君ってさあ」

男「何」

宇「昔っから二人きりになると真面目な話をしだすよね」

男「そうだっけ」

宇「そうだよ。だから、お姉ちゃんにも頼りにされるんだよ」

男「何のこと」

宇「こっちの話」



48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:14:28.64 ID:CKmsTPiR0

男「他に話すこともないし」

宇「大人びてた」

男「は?」

宇「君は。大人びてた。昔から」

男「はあ、うん」

宇「お姉ちゃんが心配だったのは本当。でもむしろ心配したのは君の方だよ」

男「俺?」

宇「そう」



49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:30:03.70 ID:CKmsTPiR0

宇「君が責任を感じてたらどうしようって」

男「・・・怒ってないのか」

宇「怒る?わたしが?」

男「うん」

宇「ぜーんぜん。むしろ感謝してるくらいだよ」

男「感謝って」

宇「はっきりいってわたしもわかんないんだよね。何もわからないんだよ」

宇「何が正しいのか、わからないんだ」



50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:33:38.50 ID:CKmsTPiR0

男「あいつはけっこう元気そうにしてるけど」

宇「うん」

男「無理、してると思うよ」

宇「恋人がどこかへ行ってしまったんだもんね」

男「そういうと面白く聞こえるよ」

宇「ふふ。真面目なんだよ?」

男「わかってるよ」



51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:44:25.07 ID:CKmsTPiR0

男「俺たちがいるせいで気を張らせてるんじゃないかって」

宇「ふりでもいいじゃない。わたしの目から見ても元気そうだったよ」

宇「人に何かを伝えるのが苦手な人なんだ」

男「うん。わかるよ」

宇「あの人は望んであなたの傍にいるんだから」

宇「だから、悪いとは思うけど」

男「俺たちが真面目に話してて、でもあの人は本当にあっけらかんとしてるかもな」

宇「それだったら本当の骨折りだよ」



53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:52:28.64 ID:CKmsTPiR0

宇「でもお兄さんがいなくなった今、あの人にあなたしかいないのは事実なんだ」

宇「だから、よろしくね」

男「ああ」

宇「だからといってあんまり考えすぎちゃダメだよ?偶にはわたしにも連絡してね」

宇「それと女ちゃんだっけ」

男「うん」

宇「あんまりあの子に心配かけないように」

宇「彼氏の周りに女がうろうろしてたら、気分悪いもの」

男「そんなものか?」

宇「わたしがいうんだから間違いないよ」



54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:56:14.37 ID:CKmsTPiR0

宇「とまあ、君にはずいぶん難しい任務を押し付けちゃったけど」

男「ちょっとまったく関係のない話をするけど」

宇「なに?」

男「つき合ってるやつとか、いるの?」

宇「その質問には一体どんな意図があるの?」

男「ただ、気になっただけだよ」

宇「本当?」

男「うん」



55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 08:59:41.94 ID:CKmsTPiR0

宇「男くん」

男「ん。何だよ」

宇「わたしさあ、ずっと前から君のことさ」

宇「好きだったんだ」

男「は?」

宇「うん」

男「いや、その」

宇「ふふ」



56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 09:02:51.85 ID:CKmsTPiR0

宇「なーんて云われたら」

宇「ちゃんと断れる?」

男「・・・冗談かよ」

宇「悪いね。でも女ちゃんのこと、大切にしてほしいから」

男「余計なお世話だよ」

宇「わたしの告白は断れる?」

男「断ることわる」

宇「それは冗談とわかったから?」

男「違うよ」

宇「なら、いいんだけど」



57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/31(金) 09:07:08.98 ID:CKmsTPiR0

宇「残念ながらお付き合いしてる人がいるよ。だからわたしルートはないと考えてもらっていいよ」

男「なに、それは」

宇「さあ、なんだろう」

男「結婚するのか?」

宇「そんなの、わかんないよ」

男「まあ、なんだその。よろしく」

宇「それはわたしの彼宛?」

男「いや、なんか変なこと口走った」

宇「ちょっとがっかりしたんでしょう」

男「してねえよ」

宇「空はフリーみたいだよ?」

男「お前が浮気させようとしてどうする」

宇「ああ、まずいまずい」





一回スレ落ち

女「年始の立ち入り検査でーす」

6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:06:50.27 ID:Z7yfcbU20

男「まあ実際俺はお前のことが、ちょっと好きだったよ」

宇「ちょっとって何」

男「ちょっとだよ」

宇「ふうん。ありがとう。嬉しいよ」

男「うん」

宇「お姉ちゃんのことは」

男「ん」

宇「どう思ってた?」



7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:14:37.94 ID:Z7yfcbU20

男「あの人は、さっき女も云ってたけど。どちらかというと憧れだったよ」

宇「憧れ」

男「ああ。本人にいうなよ?」

宇「うん。わかってるよ」

男「歳も離れてたしさ、なんといっても兄貴とつき合ってたから」

男「お姉さん、というより。何だろう」

宇「それが今、こうして一緒にいるんだもんね」

男「皮肉か?」

宇「ううん」



8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:17:58.51 ID:Z7yfcbU20

宇「電車が来たから、わたし行くね」

男「うん」

宇「よろしくね」

男「何を、よろしく」

宇「全部。諸々のこと」

男「ああ、うん。任せろとは云えないけど」

宇「そうそう。最後に」

男「なんだよ」

宇「男くんは女ちゃんの、どういうところが好きなのかな」

男「どういうところって」



9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:23:00.48 ID:Z7yfcbU20

男「困るよ」

宇「ん?」

男「そんなこと突然いわれてもさ」

宇「そっか」

男「それはお前、お前がつき合ってるやつの好きなところを訊かれても困るだろ?」

宇「うん。困るね」

男「それと同じだよ」

宇「うん」

宇「わかった」



13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:31:26.64 ID:Z7yfcbU20

男「なんで」

宇「うん?」

男「そんなに悲しそうな顔をしてるの」

宇「そんな顔してた?」

男「うん。してるよ」

宇「さあ・・・。その内、わかるよ」

男「ん?」

宇「じゃあね。バイバイ」

男「あ・・・」



16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:46:12.36 ID:Z7yfcbU20

駆け足で電車に入って

がらがらに空いているのに吊革につかまって

空いているのは年末だから

俺に向けて手を振ってくれた

俺が手を上げようとしたらもういいよ、わかったという顔をして

向こうを向いて座ってしまった

なんだかなあ

さっき買った缶コーヒーに口をつけながら

待合の椅子に座ったまま電車が過ぎ去るのをじっと見ていた



18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 11:56:48.00 ID:Z7yfcbU20

女のどういうところが好きか、訊かれても困る

困るのは決めていないからではなくて

別に全部が好きだという気もない

顔が好みだったんだと言われれば、何ともいえないし

わからない

きっと女もどこが好き、とかそんなことどうでもいいと思っているのだ

むしろそれが大きかった



19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:01:08.89 ID:Z7yfcbU20

男「ふう。ただいま」

男「あれ、寝てる」

でも、ただの近所の女の子に過ぎない女と俺が今一緒にいるというのは

なんだか不思議なことのように思えて

運命とかではなく

これが巡り合わせってやつなのかもしれない、と思った



20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:04:44.50 ID:Z7yfcbU20

男「おい、女」

女「ん、ん?」

男「起きろ。帰るぞ」

女「ああ、うん。いつ帰ってきたの」

男「今さっきだよ」

女「ちゃんと送り届けた?」

男「届けたとどけた。ばっちりだよ」

女「そう。よかった」



21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:12:07.65 ID:Z7yfcbU20

女「ハルさんは、起こすの可哀相だね」

男「うん。そのままにしておいてやれよ」

女「じゃあね。ハルさん。また明日、来るから。一緒にお正月過ごそうね」

男「ほら、わかったから。行くよ」

女「いつも世話になってるのに」

男「それはそうだけど。ほら、もう遅いから」

女「せめてベッドまで連れてってあげなくちゃ、風邪ひくよ」

男「起こすの可哀相って」

女「起こさないように、連れて行ってあげて」

男「はいはい」



22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:14:11.53 ID:Z7yfcbU20

女「それにしてもさ」

男「ん?」

女「ハルさんって妹がいたんだね」

男「ああ。うん」

女「教えてくれればよかったのに」

男「会うこともないかと思って」

女「たとえそうだとしても」

男「まあ、うん」



23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:17:07.92 ID:Z7yfcbU20

女「わたし、兄妹いないから」

男「うん」

女「ちょっと羨ましいって思っちゃった」

男「頼めば?」

女「どうしてそういう」

男「ああ、ごめんごめん」

女「でも、羨ましいよ」

男「そうか?」

女「そうだよ」



24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:28:37.09 ID:Z7yfcbU20

男「兄弟ってのはいないと欲しいし、いると厄介に思えるんだよ」

女「そうかしら」

男「うん。あの人だって」

女「ハルさん?」

男「あんまり妹たちとうまくいってなかったみたいだよ」

女「そう?けっこう仲よさそうにみえたけど」

男「まあ、今はな」

女「何かあったの?」

男「そういうわけではないんだけど」



25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:33:12.39 ID:Z7yfcbU20

男「三人兄弟ってのはどうしても下二人が仲良くなるんだ」

女「また確証もないのに」

男「そうだけど」

男「だから一番上ってのは、けっこう辛いもんなんだよ」

女「あなたは、どうなの」

男「俺?」

女「お兄さんとけっこう仲がよかったように思ったけど」

男「そうだったっけ。というか覚えてるの」

女「覚えてるよ。それくらい」



26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:36:24.41 ID:Z7yfcbU20

男「さあな。それは、わからないよ」

女「どうして」

男「だって今、いないから」

女「連絡はつくんでしょう」

男「ああ・・・。うん」

女「むしろわたしが兄弟いいなあって思うのはあなたにお兄さんがいたから」

男「そう」

女「うん。すごく、羨ましいよ」

男「そうか」



27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:41:22.26 ID:Z7yfcbU20

女「だから少なくとも、わたしにとってはあなたたちは羨ましいと思える兄弟だったんだ」

男「だったら、いいんだけど」

女「うん」

男「仲よかったかなあ」

女「別にあなたがどうこう思うのは、いいんだよ」

男「そう」

女「うん。わたしが思うことなんだ」



28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:44:29.18 ID:Z7yfcbU20

男「お前ってさあ」

女「ん?」

男「俺のどういうところが好きなの」

女「なに突然」

男「いや、なんとなく」

女「そういうことはてっきり訊かれないものだと思っていたけど」

男「いいから」

女「うーん。ないかな」

男「はい?」

女「好きなところがないところが好きなの」

男「はあ」

女「ふふ。冗談だよ」



29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:52:15.66 ID:Z7yfcbU20

女「強いて挙げるとすれば」

男「うん」

女「あなたがわたしの家の隣に住んでいたことかな」

男「なんだよ、それ」

女「つまりね。出会い」

男「はあ」

女「もちろん運命とか、そういうんじゃなくてだよ?」

男「そうか」

女「うん。そう」

男「なかなかいい返答だね」

女「へへ。どうも」



30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 12:59:28.18 ID:Z7yfcbU20

どこが好き、というのは愚問だと思う

性格といわれればその性格でいなければいけないし

笑顔がかわいいといわれれば笑っていなくてはいけない

一緒にいて落ち着くといわれて、自分がそわそわしていたらどうしよう

全部が好きといわれればとても嬉しいけど、それは窮屈にも思える

男がどういう意図で訊いたのかは知らないけど

多分宇深さんに訊かれたのだろう



33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 13:49:35.66 ID:Z7yfcbU20

本当は一つだけ、ひとつだけあるんだ

でも、それを言葉で説明するのは難しい

ただ近所のお兄さんだった男を好きになる理由は確かにあって

だからわたしはケリをつけないといけない

会いたいってメールが来ている

わたしは、行かなければならない



34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/02(日) 13:54:15.57 ID:Z7yfcbU20

女「ハルさんハルさん」

晴「なに。女ちゃん」

女「お正月なのにカップ麺食べてるの」

晴「他に何を食べろと」

女「わたしはお雑煮食べてきたよ?」

晴「私の家にはお雑煮作ってくれる人がいないんだもの」

女「作ればいいのに」

晴「ええ。めんどっちい」

女「そう思って男と出来合いのおせちを買ってきました」

晴「おお」



59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:03:02.26 ID:vrJHRvGd0

晴「もらっておいてなんだけど」

女「なに?」

晴「おせちってまずいよね」

女「そう?」

男「ああ。わかるわかる」

晴「冷たいし、味付けもそっけないし」

男「まあ、好んで食べるものじゃないよな」

女「じゃあ、いらない?」

晴「いや、いります。いただきます」



61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:08:19.36 ID:vrJHRvGd0

晴「しかしおせちなんて食べたの何年ぶりだろう」

男「一年ぶりじゃないの」

晴「それじゃあ普通じゃない」

女「実はわたしもあんまり好きじゃないんだ」

晴「どうして買ってきた」

女「なんか、雰囲気大切だと思って」

晴「ああ」

男「でもお前なら、正月も盆も関係ないやいっていいそうだけど」

女「それは大いに当たってるけど、わたしが食べるわけじゃないからね」



62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:15:26.26 ID:vrJHRvGd0

晴「昔O157って流行ったじゃない」

男「なんかの感染症だっけ」

晴「多分。それでいくらが危ないって聞いて、それから食べたらダメなものかと思ってた」

男「じゃあ、いらないの」

晴「いや、いるいる。昔の話だって」

女「しかし物を食べてる最中にそんなこというのも感心しないね」

晴「ごめん。でも、あなたたちもそうだったんじゃないの」

男「いや、全然」

女「わたしとハルさんって半回り歳が違うから、ジェネレーションギャップを感じるよ」

晴「さらっと傷つくことをいってくれる」



64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:28:52.98 ID:vrJHRvGd0

晴「16と22じゃ大きく感じるけど、84と90じゃ大して違わないように思えるよね」

男「また極論を」

女「ジェネレーションギャップはさすがに冗談だけど」

晴「でも6年なんてあっという間だよ?気づけば女ちゃんも22になってる」

男「そして気づけばあんたは28になってるんだよな」

晴「またいやなことをいってくれるね」

女「時の流れは速いっていうけど」

女「それってさ、止まらないから速く感じるだけで、実際は遅いんだよね」

男「だって」

晴「女ちゃんのこういうのはまったくいつ来るか予測できないわ」



66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:37:52.96 ID:vrJHRvGd0

晴「でも合ってるよ。時の流れが速いってのは嘘だね」

男「どうして」

晴「うーん。暇だからかな」

男「なんていう」

女「うん。暇なんだよね」

晴「暇なのは本当に世界がつまらないのか、面白いことに気づいてないかのどっちだろうね」

男「今度はこっちに飛び火したの」

女「気づいてないだけって信じたいけどね」



67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:44:49.28 ID:vrJHRvGd0

男「そうそう。聞いたぞ」

女「誰に何を」

男「お前のお母さんに。この間の期末試験十中七が赤点だったって」

女「そんなこといったの」

男「まあ、勉強しろとはいわないけど、頭いいんだからさ」

女「嫌いなことは極力避ける主義だから」

男「間違っちゃいないけど」

晴「だいじょうぶ。私なんて十中九が赤点だったことがあるよ」

男「そこで張り合ってどうする」

晴「まあこういう人間もいるってことだね」



69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:51:35.69 ID:vrJHRvGd0

晴「嫌いなことから逃げたらダメって、それは指示する側の都合だよね」

女「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」

晴「そうそう。あれあれ」

男「というかこんなところでそんなことを話し合ったってどうせ嫌いなことをする人間なんてここにいないんだから」

晴「そうだね~」

女「似たもの同士が集まるというのはなんて楽なことなのかしら」

男「そうして人間は腐っていくんだ」

女「冗談。第一わたしたち、似通ってないからね」

晴「共通点は年中暇なことかしら」

男「なんか嫌だな・・・」



70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 03:56:51.45 ID:vrJHRvGd0

晴「というか今日のつっこみ役は男くんなんだ」

男「なんだその役回り」

女「なんだか正月だからわたしも調子出ないというか」

男「別に、思ってることをただいってるだけだよ」

晴「だろうね。空気に合わせてしゃべるなんてたまったもんじゃないよね」

男「そこまではいってない」

晴「とにかくおせち、ありがとね。おいしかったよ」

女「そんな見透かした嘘、つかなくてもいいのに」

晴「はは。ばれた?」

女「というか疑ったらダメなんだった」



71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 04:02:42.92 ID:vrJHRvGd0

男「なんか今日のお前、ちょっと違わないか」

女「何が」

男「なんか晴と組んでる感じが」

女「まあ、正月だからだね」

晴「あ、それ今度から遣おう」

女「別にわたしがどうしゃべってもいいじゃない」

男「まあ、そうだけど」

女「なんだかそういわれると不愉快だよ」

晴「なんだか女ちゃん不機嫌だね」

女「正月だから、だよ」

男「うん?」



72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 04:15:38.12 ID:vrJHRvGd0

女「ちょっと出かけてくる」

男「ん。ああ」

晴「どこに行くの」

女「少し。怒ってるわけじゃないから、それだけ」

男「うん。わかったけど」

女「じゃあ、ちょっと遅くなるかもしれないけど」

晴「ふうむ」

女「浮気しないように」

男「はあ」

女「じゃあね。バイバイ」



74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 04:48:32.36 ID:vrJHRvGd0

晴「女ちゃん、どこに行くんだと思う?」

男「あいつが少しっていうんだから、相当いいたくないんだろ」

晴「女ちゃんがいいたくないところ」

男「さあな。あんまり詮索してやるなよ」

晴「うん。端からその気ないよ」

晴「でもお正月に行かなければならないんだから、それこそ相当だね」

男「まあ、行きたいって感じではなかったな」

晴「ま、いっか。関係ないしね」

男「そうだな」



75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 04:55:09.94 ID:vrJHRvGd0

4年前

彼「あのさ」

女「ん?なに」

彼「俺さ、今度引っ越すことになったんだ」

女「え?」

彼「だから、当分会えない」

女「・・・そっか」

彼「うん」

女「からかっていってるなら承知しないよ?」

彼「ううん。そういうわけじゃないんだ」

女「そう」



77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 04:59:20.01 ID:vrJHRvGd0

女「それっていつの話?」

彼「ああ。三学期から向こうだっていうから、後半月くらい」

女「ずいぶん急なんだね」

彼「だから俺も驚いてる」

女「どこに引っ越すの」

彼「埼玉だって」

女「埼玉。それはずいぶん遠いんだね」

彼「うん」

女「でも都会だからよかったね」

彼「そ、そうかな」

女「うん。こんなところよりよっぽどいいよ」



78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 05:05:43.90 ID:vrJHRvGd0

女「そうなんだ」

彼「うん」

女「電話、するね」

彼「うん」

女「本当にからかってない?」

彼「からかってないよ」

女「ああ、うん。わかるよ」

彼「うん」

女「相槌ばっかりだね」

彼「・・・うん」



79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 05:28:48.54 ID:vrJHRvGd0

突然同級生に告白された。小学6年の春のことだ

その子とは低学年の頃からなんとなく仲がよかった。なんとなく話して、なんとなく笑った

薄々この子はわたしのことが好きなんじゃないかと思っていた。自惚れといわれれば返事の仕様もないけれど

でもさすがに5年生のときに4回連続で座席が隣同士になったときはばれるよ、と思った

彼はいつもは明るい、というと違う気がするけど、ムードメーカーみたいな感じ

でも二人きりになると途端に黙ってしまう、そんなところが好印象だった

わたしが放課後、一人で階段を下りているところだった



80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 05:33:19.41 ID:vrJHRvGd0

俺、お前のことがというなんだか定型句みたいな出だしで好きという単語を三回連発した

その後なんだかよく聞き取れないことをいって(多分返事くれよみたいなことだと思っている)

廊下を全力で走り去って行った

君は今告白されたんだよ

なぜか他人事のようにその一部始終を眺めていた



93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 17:37:48.24 ID:vrJHRvGd0

どういう返事をしたらいいんだろう。ふと我に返って考えた

おかげで土曜日に友達に鼻息荒いよ?といわれる

断らなかったのは、その理由がなかったから

彼を好きだと思ったことはないが、彼に同情してつき合う気なんてさらさらなかった

結果としてわたしも彼のことが好きになったのも事実だった



94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 17:43:50.96 ID:vrJHRvGd0

廊下ですれ違った際に放課後に校門で待っててという。なぜだか彼は恥ずかしそうな感じ

いいよといってしまったのはまずかったと思ったが彼はとても喜んでくれた

彼が引っ越すことになったのはそれから半年後

こんなマンガみたいなことってあるんだと自分で思う



95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 17:50:26.51 ID:vrJHRvGd0

彼「よ、よお」

女「あ、彼くん?」

彼「うん。あけましておめでとう」

女「ああ、おめでとうございます」

女「待った?」

彼「ううん。今来たとこ」

女「なんか、変わってないね」

彼「そう?どちらかといえば変わったっていわれることが多いけど」

女「外見じゃなくて」その、なんだかものさみしいところだよ



96 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 17:55:33.46 ID:vrJHRvGd0

彼「突然呼んでごめん。たまたまこっちに用があったから」

女「今も埼玉に住んでいるんだ」

彼「いや、神奈川」

女「横浜?」

彼「ちょっと違うんだけど」

女「そっか。大変なんだね」

彼「ううん。慣れてるから」

女「そうじゃなくて、なんだか全体的に」

彼「ん?」



97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 18:02:33.88 ID:vrJHRvGd0

彼「話があって」

女「ああ、うん」

彼「呼んだんだけど」

女「その前に何か食べようよ。もう昼過ぎだから」

彼「でも俺ここらへんもうわからないから」

女「それは、任せて。でもあんまり期待しないでね」

彼「女がいうところなら、なんでもいい」

女「そう。ありがとう」



107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 22:30:32.55 ID:vrJHRvGd0

わたしと男は歳が三つも離れているから、家が隣同士という以外共通点がなかった

小学二年のとき同級生の高林ちゃんの家に遊びに行ったらそこに男がいた。彼女のお兄さんの友達だったのだ

「こんな小さい子をひとりで帰らせるわけにはいかないだろ」

高林くんのその言葉でわたしたちは一緒に帰ることになった

今思えば彼にはすごく感謝しなければならないのかもしれない



111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 22:47:03.36 ID:vrJHRvGd0

帰り道、わたしたちは何も話さなかった

ありがとう。ああ、またな。それくらい

でもそこには言い表せない安心感があった、と思う。わたしだけかな

男はわたしに合わせて歩いているつもりで、でも本当は歩くの遅いなあと思っていた

夜道、街灯となんだか恥ずかしそうにしている男とを交互に眺めていた



113 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 22:53:32.06 ID:vrJHRvGd0

彼「女って一人でこんなところに入るの」

女「ダメかな」

彼「いや、ダメじゃないけど」

女「最初は入りにくかったけどね。先輩に教えてもらったんだ」

彼「ふうん」

女「安いし。おいしいし。テーブルが脂ぎっているのは愛嬌だよ」

彼「ああ、うん。確かにつるつるしてる」

女「ふふ」



114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 22:56:05.68 ID:vrJHRvGd0

女「このスタミナラーメンっていうのがおすすめだよ」

彼「おいしいの?」

女「すごく濃いよ」

彼「はあ」

女「これをおいしいと思うかは人次第だね」

彼「普通のラーメンでいいや・・・」

女「そう。わたしは好きだよ?」



115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 23:00:27.13 ID:vrJHRvGd0

彼「それ、なに」

女「豚バラ丼」

彼「小学校の時からそんな感じだったっけ」

女「そんな感じって」

彼「なんかもっとさっぱりしたものが好きじゃなかった?」

女「小学生だから、見栄を張っていたんだね」

彼「ああ」

女「350円だから。すごいでしょう」

彼「うん。それは、すごい」



116 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 23:04:36.42 ID:vrJHRvGd0

女「結局スタミナラーメンを頼んだね」

彼「おいしいっていうから」

女「うん。おいしいよ」

彼「なんか見た目は普通っぽいけど」

彼「あ」

女「どうしたの」

彼「れんげがなかなか沈まない」

女「すごいでしょう」

彼「すごいよ、これは」

女「これだけでも頼んだかいがあったね」



118 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 23:25:54.76 ID:vrJHRvGd0

彼が引っ越す日、彼は泣いていた。必死で隠すようにしていたけれど

涙目の彼の顔をみてわたしはたじろいでしまった。わたしは泣いていなかった

彼の好きがわたしの好きよりもずっと大きかったのは確かだ

でも、わたしは彼のことが好きだった。それなのにわたしは泣いていなかった

わたしは冷たい女なのかもしれない。彼が引っ越すことよりそのことの方が衝撃だった

彼を見送った後、わたしは違う理由で泣いていた



120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 23:50:56.84 ID:vrJHRvGd0

帰り道に男と会う

男は家の前でスパイクの土を落としていた(中学のときはサッカー部だった)

泣いているわたしをみて、男は随分と驚いていた

どうしたの

わたしはさらにこらえきれなくなって

納得した

男の心配する声を遮るようにして家の前を走り去って

それからわたしと男がつき合うのに3年かかった



121 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/03(月) 23:56:50.00 ID:vrJHRvGd0

女「それで話って」

彼「うん」

女「・・・」

彼「俺、さ」

女「うん」

彼「好きな人がいるんだ」

女「・・・ああ、うん」

彼「いわなければいけないと思って」

女「それだけ?」

彼「うん。それだけだけど」

女(・・・なんだ)



122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 00:02:25.67 ID:3nLsPe3e0

女「そっか」

彼「うん?」

女「そっかそっか」

女「わたしも、好きな人がいるんだ」

彼「そうなんだ」

女「だから、おあいこだね」

彼「・・・うん」

女「お幸せに、ね」

彼「なんだかもう結婚するみたい」

女「まだ16だったね」

彼「女もだろ?」

女「ふふ。そうだった」



123 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 00:06:58.50 ID:3nLsPe3e0

女「それをわざわざ云いに来るなんて、律儀だね」

彼「別に話は口実で」

彼「本当は会っておきたかったんだ」

女「・・・うん。うれしいよ」

彼「その、女が好きな人はどんな人なの」

女「ん?うーん」

女「変な人、かな」

彼「変な人なんだ」

女「うん。歯がゆい思いばっかりさせてくれるよ」



128 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 01:59:54.54 ID:3nLsPe3e0

女「じゃあ」

彼「今日は会えてよかった」

女「うん。わたしも」

彼「訊かないの」

女「何を?」

彼「俺の好きな人がどんな人か」

女「ああ、うん。いいよ」だってどうでもいいんだもの



129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 02:33:56.75 ID:3nLsPe3e0

晴「わかってないなあ」

男「人気があればいいんじゃないの」

晴「その人気だって、躍らされてる感があるよ」

男「面白いから人が集まるんだろ」

晴「長いんだって。いらない部分が多いの。わかるでしょう」

男「続けばつづくほどファンも喜ぶし」

晴「物語は緻密に組み立てられてほしいの。芸術性だよ」

男「はあ」

女「ただいま」

晴「あ、おかえり。女ちゃん」

男「よお」



130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 02:45:10.17 ID:3nLsPe3e0

女「何してるの」

男「トランプ。見てわかるだろ」

女「そうじゃなくて。話声が聞こえたけど」

晴「少年漫画の長すぎるストーリーについて」

女「また?何回してるの、その話題」

男「かれこれ10回以上だな」

晴「男くんが納得しないんだもの」

男「極端なんだよな。あなたは」

女「はあ。もういいよ。わかったから」



131 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 02:55:46.15 ID:3nLsPe3e0

晴「それより、どこに行ってきたの。女ちゃん」

女「まあ、ちょっと」

晴「ちょっと」

男(これはいよいよわからないな)

女「別に大したことないから、気にしないで」

晴「年賀状出しに行ったとか」

男「ああ」

女「さすがにそれは違うけどね」



132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 03:01:14.84 ID:3nLsPe3e0

女「外はさあ、寒かったよ。ここにいるとわからないけど」

男「そう」

女「でも雪は大分融けてたから、そうでもないんだね」

晴(あのさあ)

男(ん?)

晴(ちょっと気になってることが)

男(ああ、俺も思ってた)

晴(女ちゃん、目、赤くない?)

男(泣いてる、のかな。あれは)



133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 03:29:27.58 ID:3nLsPe3e0

女「あのラーメン屋に行ってさ、念願の豚バラ丼を食べたよ」

男「女」

女「なに?」

男「どうしたの」

女「何が?」

男「何がって」

晴「女ちゃん。泣いてるの、わかるよ」

女「な、泣いて、ないよ」

晴「いいたくないことなら、いいんだけどさ」

女「別に、なんでもないよ。大丈夫、だいじょうぶだから」

男「・・・」

女「本当に、本当に・・・」



134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 03:57:25.76 ID:3nLsPe3e0

わたしが男のどこが好き、というのは愚問だと思う

きっと彼ならわたしの好きな人であろうとするに違いない

それは自分がわたしといたいからではなく、わたしのために。わたしが喜ぶために

でも、そうではなくて

あの日、泣きながら帰ったわたしと

偶々家の前でスパイクを磨いていた男

どうしたの、と問われてもう我慢できなくなった

その一連だったんだけれど

それは別にわたしさえ知っていればいわなくてもいいことなんだ

そう思った



おわり



135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 04:03:31.22 ID:3nLsPe3e0

終盤崩れた・・・

保守、支援してくれた人たち、ありがとう
立てる日間違えたな・・・



136 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 06:09:55.58 ID:QHSZ93tD0

今回はここまでということか
おつ
次も楽しみにしてる



137 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 07:47:15.45 ID:ueHHx73y0

おつ
この微妙な関係は好きだ



139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 10:27:06.34 ID:lJQBZsPU0

おつ
次回はいつごろ?



140 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/04(火) 11:04:18.32 ID:3nLsPe3e0

ぶつ切りで終わってる感があるのかな
次回は、いつだろ。2週間後かな。読んでくれる人がいるなら




関連記事
Twitter はてなブックマークに追加
厳選おすすめ新着記事!
NEXT Entry
業務用のオナホ買ったったwwwwwwwwwwww
Comment
    Comment form
     管理者にだけ表示を許可する
    アクセスカウンタ


    現在の閲覧者数:
    トップ画提供
    感涙の極みで御座います。
    (つд⊂)

    9210様

    画像クリックでpixivに飛びます。
    おすすめ(゚∀゚)

    マイクロアドBTパートナーでおこづかいゲット!
    最新ランキング
    ■ライトノベル■

    ■家電■

    ■テレビゲーム■

    ■フィギュア■


    CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。